人生ゲーム

東京大学医学部。ゲーム、読書、医療の話をしていきたいと思います。

7/4 Tech記事から未来の医療を少し考える

今日からMIT technology reviewやwiredなどで気になった記事について書いていこうと思います。

中国での炭素取引市場の開設やSwitchでのFortnite(人気のバトルロワイヤルゲーム)など色々面白い記事が並んでいましたが、その中でもいいなと思った記事は2つあります。

 

 ・ロボットから義足技術へ

 ・3Dプリントで肺を作る

 ・感想

 

まぁ両方とも医療関連です笑

・ロボットから義足技術へ

wired.jp

1つ目はこの技術。二脚ロボットの歩行を邪魔することでより、歩行する際の障害に柔軟に対応できる義足ができるようになるという記事!

 

義足と言っても色々あります。2年前のパラリンピックでドイツ?代表の方が使っていた競技用の義足が有名だと思いますが、競技用、日常用というくくりだけではありません。

足を切断した部位によっても義足はかわりますし、ひざ関節を制御する仕組みによっても区分できます。

 

一口に歩くといってもそこには、複雑な神経調節、筋肉の連動、スムーズな関節の動きなど様々なものが影響していきます。

 

僕もそっち系の研究をやりたいって気持ちはあるんですけど、日本って義手、義足分野すごい弱いんですよ。

強いのはドイツとかアメリカ。

やっぱり軍隊があるのとないのとだと、需要と開発費が全然違うそうです。

 

ただ、日本も高齢化が進んで思うように歩けない人が多くなったら、歩行補助のロボットやなんかが出てもおかしくはないと思います。

筑波大学ではVBで歩行補助のロボット(歩行練習にも使える)を開発していますし、東大もそこらへんに力を入れて欲しいなぁなんて。

 

筋肉だけでなく神経の補助もできるとなると、脳梗塞後のリハビリだったりと多くのことに使えそうですし、リハビリテーションの中でも熱い分野の一つじゃないかなーなんて思っています。

 

 

・3Dプリントで肺を作る

www.technologyreview.jp

今度の記事はMIT technologyreviewから!

肺ってすごい複雑なんですね。細かく入り組んだ気管支や肺胞の構造、線毛などの防御機構の全てを再現しようとするのはとても難しいと思います。

この記事は肺の構造だけを3Dプリントで再現して、そこに細胞を入れることで肺を製作しようというとてもチャレンジングな試みを紹介しています。

 

僕はバイオプリンティング(細胞で構造を作る)なんて知らなかったので、二重の意味で驚きでした。

 

ただ、やはり複雑な構造を作るのは難しいらしく、肺の3Dプリント自体もネックにはなるそうです。

 

タバコを吸って肺がボロボロになり息が吐きづらくなる病気(COPD)などに対して治療法がない今、実現できたらとても画期的な物になるかもしれません。

 

ですが、ある程度は先の話のようなので自分の持っている臓器を大切にして生きて生きましょう。

 

・感想

やはり、臓器の取り替え、代替という技術の方向性はあるのかもしれないと今回の記事を読んでいて思います。

 

基本的に西洋医学は取り除いていく学問です。がんがあれば手術して切るし、残ったやつは放射線、薬で殺す。菌が悪さをすれば抗生物質で殺す。

 

となるとやはり一番の問題は切った後にどうするかという問題です。外科医の先達は切った臓器の穴を埋めるために様々な再建法を考案してきました。

その究極系が人工臓器であり、義手義足なのかもしれません。

 

がん治療が進み、がんになっても5年10年生きることが珍しくない時代になりました。治療の基準として長い間、生存率というクライテリアを使ってきた医学界ですが、高齢化社会が進むにつれてその基準は時代にそぐわなくなってきているのではないかと、若輩者の僕なんかは思ってしまいます。

 

体の悪くなった部分を取り替え続けて生きていく時代がくるかもしれません。

長生きするのも良いと思うけど、納得して世を去る方が難しいし重要だと思う今日この頃です。